即興小説

与えられたお題を元に短時間即興で書いた小説です。

お題は下記のサイト様から貰いました。

即興小説

  • 菜の花の約束

    【お題:菜の花が一面に広がる花畑・小さい頃の思い出・病気がちな少女が大人になった・水薬】【時間:1時間8分】◆◆◆日に日に容態が悪くなってきていることが、自分でも嫌になるほどわかった。額にじんわりと滲んだ汗をぬぐいながら、私は窓の外を見た。…

  • きっと秋のせい

    【お題:『保護色』『キャンディ』『無差別』】【時間:41分】◆◆◆できるだけ目立たないように生きていきたい。それが僕のたったひとつの願いだ。帰りのホームルームを終えて、騒がしくなった教室の片隅。今日も僕は息を殺すように、一日を過ごした。SN…

  • 最後の仕事

    【お題:ねーたもつ、かなしいほど幸福な入院患者と廃棄寸前のロボットとの3日間の話書いてー。】【時間:ー】◆◆◆「リュース、これが君の最後の仕事になるだろう」そう言って、執行官ラノルドから任されたのは、とある新興宗教を壊滅させる仕事だった。そ…

  • 本当に救いたかったのは

    【お題:ねーたもつ、寂しがり屋な霊能力者と迷惑なほど気を回してくる不良が壊れていく美しい悲劇の物語書いてー。】【時間:120分】◆◆◆今でも僕は、あの日のことを後悔している。「またここかよ」屋上のドアを開いた僕はため息ついてそう言った。春の…

  • じいちゃんと僕

    【お題:ねーたもつ、禁忌に触れた過去のあるお嬢様と心の優しいパンクなお兄さんが記録した「写真」に纏わる物語書いてー。】【時間:149分】◆◆◆じいちゃんが死んだ、という連絡を母親から聞いたのは、同級生の内定の報告LINEと、11社目のお祈り…

  • 可能性

    【お題:『景色』『青』『難易度』】【時間:ー】◆◆◆何かに挑戦したり努力したことに対して、それ相応の結果や評価が貰えるのは学生までだ、と社会人になってから気がついた。社会に出てからは、頑張っても結果が出なかったり評価されなかったりすることば…

  • いいじゃん、どうせ誰もいないんだからさ

    【お題:『ゆとり』『乳』『留守』】【時間:ー】◆◆◆「ったく、この部屋暑すぎね?」机に突っ伏した状態のシンヤはそう言って、目線だけ俺に向けた。俺の背には窓があるので、シンヤは少しまぶしそうに目を細めた。俺の部屋には西日がガンガンに差し込んで…

  • 満月の夜にまた会おう

    【お題:『月』『まとめ』『螺旋』】【時間:ー】◆◆◆「いつかまた満月の夜に会おう」そう言い残してこの町を去っていった男を、私はまだ待ち続けている。標高の高い山々に囲まれた谷に位置するこの町は、これといった名産もなく、貴重な鉱物が取れるわけで…

  • 僕と彼女の奇妙な関係

    【お題:『好き』『赤』『変態』】【時間:ー】◆◆◆いつしか僕は人前に出ることが怖くなった。「カ、カバーはおかけしますか?」今日も僕は書店のレジに立っていた。時計は21時40分。あと20分で閉店だ。ああ、早く帰りたい。そう思いながら僕は接客を…

  • 責任とってよ

    【お題:『男』『短歌』『ランプ』】【時間:200分】◆◆◆頬に柔らかい風があたる。さらさらと葉が掠れる音に耳を澄ませながら、俺は、ゲーテの詩集を読んでいた。この寮の卒業生が残していった本ということもあって、所々のページに書き込みがある。その…

  • 素敵な彼女

    【お題:『好き』『緑』『包丁』】【時間:ー】◆◆◆私が彼女と出会ったのは、5年交際した男にフラれた日だった。仕事でなかなか会えていなかった彼から、久しぶりに連絡が来て、ちょっと高めのレストランに誘われたから、絶対プロポーズだと思っていた。だ…

  • 兵士たちの休息

    【お題:『戦友』『入道雲』『ワイシャツ』】【時間:ー】◆◆◆レストニア帝国空軍第三基地。その日の午後の訓練は午後14時には終了した。夕方から帝国軍と政府高官とそのご子息を含めた合同パーティーが開かれるからだ。帝国軍上官と会場の警備を任される…

  • 春が始まる

    【お題:『風』『フラスコ』『ゆとり』】【時間:ー】◆◆◆「じゃ、ちょっと学校行ってくる」玄関でローファーを履いていると、台所からお母さんが顔を出した。「え?まだ春休みでしょ?それに今日は良子叔母さんたちが来るから家にいてねって言ったじゃない…

  • 今こそ君に

    【お題:世界が終わる日に・溶けるように・罪を償った】【時間:68分】◆◆◆「……ここもだめか」かつて渋谷と呼ばれた地に僕は立っていた。全盛期の渋谷は、流行の最先端として若者で溢れかえっていたらしい。しかし、僕の目の前に広がっているのは、崩れ…

  • お似合いのカップル

    【お題:放課後の教室で・抱き合いながら・死んでしまいたいと思った】【時間:46分】◆◆◆「佐竹」三輪はチュッとキスをすると、そのまま俺の背に腕を回し、俺の肩に顔を埋めるようにギュッと抱きしめた。三輪の髪からほのかに甘い香りが漂う。その時。ガ…

  • 約束の桜

    【お題:「夜桜の下で」「冷めたコーヒーをすすりながら」「約束をした」】【時間:129分】◆◆◆車検を来月に控えた中古軽自動車から降りた俺は、足下を見た。駐車場の砂利に桜の花びらが混じっていた。俺はゆっくりと顔を上げた。今年も桜は満開である。…

  • 海の底

    【お題:「暗い海の底で」「抱き合いながら」「キスをした」】【時間:ー】◆◆◆「そこまでだ」背後から低い男の声が聞こえた。振り返ると見覚えのある顔だった。白銀の髪。切れ長の目。真夜中の船上デッキ。客船の乗客のほとんどは寝息をたてている時間だ。…

  • 星降る夜に

    【お題:「星が降る夜に」「心底憎いといった表情で」「手紙を破り捨てた」】【時間:ー】◆◆◆仕事を終えて、マンションに戻ったのは22時を過ぎた頃だった。郵便受けを開けると、ピザ配達のチラシの他に、白い綺麗な封筒が入っていた。はがきサイズの封筒…

  • 次の街へ

    【お題:『CD』『猫』『トランク』】【時間:ー】◆◆◆「この土地ともおさらばかぁ……」高台から街を見下ろしながら思わず呟いた。今日はどこまでも澄んだ青空で、出発の日にふさわしい天気だった。ニャーと背後で鳴き声が聞こえた。アメリカンショートヘ…

  • あんたは俺のヒーロー

    【お題:ねーたもつ、性格の悪いモデルと酔いどれ受付嬢のどちらかが、誰かのヒーローになるまでの話書いてー。】【時間:ー】◆◆◆「……頭いたい、帰りたい」二日酔いの体に鞭を打って出社した私は、ひとりごとを呟きながら始業時間3分前に受付に座った。…

  • 僕だけが知っている

    【お題:「誰もいない部屋で」「二人、手を握りながら」「恋をした」】【時間:ー】◆◆◆ガラリと視聴覚室のドアを開いた。窓から差し込む赤い夕日に思わず目を細める。赤い空に切り取られるように、窓際に影があった。彼女は僕に気づくと、ぱぁっと表情を明…

  • いつか必ず

    【お題:『通信』『留守』『羊』】【時間:ー】◆◆◆視界に広がるのは、牧草地の緑色、空の青色。羊たちの群れの白色。私の日常は、この三色でできている。生まれてからずっと、この景色を見て育ってきた。だからこれといって、特別に意識することはなかった…

  • スクラップ

    【お題:ねーたもつ、身体の一部を失った双子の片割れと物理で何でも直す家電修理屋が一緒に暮らすまでの話書いてー。】【時間:ー】◆◆◆僕たちは2人で1人だった。ずっと一緒だと思っていた。唯一の収入源であった缶詰工場から、ついに解雇されてしまった…

  • 変わる

    【お題:『骨』『ライブ』『新月』】【時間:ー】◆◆◆ミュージックシーンは時代に合わせて変化する。音楽にも流行がある。その時代で流行っていたジャンルが数年経てばば、「なんかダサい、古い」なんて言われて聞かれなくなるなんてこともザラにある。しか…

  • 戦略家

    【お題:『チェス』『まとめ』『リスク』】【時間:ー】◆◆◆授業を終えた私は、急いで教室を出て渡り廊下を抜け、生徒会室のドアを開いた。「ああ、有馬さん、早いね」副会長の吉澤先輩が出迎えてくれた。吉澤先輩はいつものように窓際の椅子に腰かけていた…

  • 新しい扉

    【お題:『名刺』『責任』『変態』】【時間:ー】◆◆◆「〇〇商事 加藤と申します」商談のためにやって来た会社で、滅茶苦茶好みの男に出会った。加藤という男とは、今までメールでのやり取りはあったが、こうして顔を見るのは初めてだった。清潔感のある髪…

  • 無意識の恋

    【お題:無意識の恋】【時間:ー】◆◆◆上野商店の扉を開けると、レジで雑誌を読んでいる黒眼鏡の男がいた。おでこの上にはヘアバンド。男にして長い髪をまとめている。今日もよれよれの黒いジャージを着ている。部屋でくつろぐための格好だ。いくらド田舎で…

  • 悪夢

    【お題:『風邪』『ノイズ』『ムカデ』】【時間:ー】◆◆◆気づいたら、知らない場所にいた。どこかの地方都市のようだ。妙に薄暗い。曇り空。人はそこそこ多いのに、何故か活気がない。人々の顔には靄がかかっているように、ボンヤリとしていて表情が見えな…

  • ひつじ風呂

    【お題:『CD』『牛乳瓶』『羊』】【時間:ー】◆◆◆「疲れたぁ」駅の階段を降りながら、思わず独り言を呟いた。チーフの小林さんが休暇を取っている今日に限って、予約無しの客がひっきりなしにやって来て、しかも縮毛やカラーを注文する客がやたらと多く…

  • 3年目の告白

    【お題:三年目の告白】【時間:ー】◆◆◆「うおぉ、まじ緊張してきた、やっぱやめようかな」俺は、田嶋とともに旧校舎へと続く渡り廊下を歩いていた。体育館ではたった今卒業式が終わったばかりだ。俺たちは今日、この中学校を卒業する。中学校最後の日に、…

  • 甘酸っぱい?苦いだけ

    【お題:甘酸っぱい?苦いだけ】【時間:ー】◆◆◆甘酸っぱい青春時代の失恋は、いつか大人になった時に宝物になる。そんな言葉をどこかの誰かが言っていたが、そんなのは綺麗事だ。初恋相手の好きな人が、私の親友だった。私の恋を応援してくれると言ってく…

  • 悟られないように

    【お題:悟られないように】【時間:ー】◆◆◆「ふぅん、なるほどね」午後6時過ぎのマクドナルド。いつしか毎週水曜日は二人でビックマックセットを食べながら愚痴を言い合うのが日課になっていた。ミキの愚痴はいつも彼氏の愚痴だ。いや、愚痴というよりノ…

  • 頼もしい背中

    【お題:『ガラスのハート』『心のときめき』『捻じ込んだ』】【時間:ー】◆◆◆昔から僕はオロオロしているせいかイジメの対象にされやすかった。友達の些細な冗談も真に受けてしまい、必要以上に傷ついたり落ち込んだりすることが多かった。「コウはガラス…

  • 夏休みの終わり

    【お題:夏休みの終わり】【時間:ー】◆◆◆「夏休みも終わりか」冷房の効いた部屋でベッドに横たわっていた僕は、カレンダーを見て呟いた。ごろんと体の向きを変えて、窓の外を見る。どうやら外は30度を超えているらしい。暑さのせいで窓から見える景色は…

  • 新しい生活

    【お題:『ムカデ』『包丁』『目玉焼き』】【時間:ー】◆◆◆心地よい風を頬に感じて、目が覚めた。こんなに目覚めの気分がいいのは何年ぶりだろう。笑みを浮かべながら体の向きを変えた。畳の上に敷いた布団は近くのホームセンターで5000円でかった安物…

  • ふたりの部屋

    【お題:相性抜群・温かさに満ちた将来・鍵のかからない部屋】【時間:ー】◆◆◆会社の仕事を定時で終えて、コンビニで煙草と焼き肉弁当をふたつ買ってから帰宅すると、陸はいつのようにリビングでノートパソコンに向かいあっていた。「おかえりショウタ」陸…